医師の仕事はハード?勤務先次第でも忙しさはいろいろ

勤務医と開業医で見られる違い

医師の勤務体制

医師の勤務体制
医師の活躍の場といえば医療機関ですが、医療機関にもさまざまな形態があり、医師の働き方も異なります。
医師自体も臨床医と研究医に分類され、臨床医は患者の診療と治療に応じる医師のことをいいます。臨床医はさらに、病院に勤める病院勤務医と医師が自ら経営する開業医に分けられます。そして研究医とはその名のとおり、大学や研究機関などで医学研究を行う医師のことです。
こうした活躍の場によって、医師の勤務形態も異なります。
一般的な医療機関では、診療時間が午前と午後の二部制になっていることがほとんどです。その二部の間、午後12時から午後2時頃までは病院の休み時間になり、診療を一旦ストップします。医師はその間に休憩を取りますが、午前の診療が長引いた際は休憩時間を押してしまうこともあります。特に規模の大きい大学病院や、外来患者の多い日には、休憩時間がかなり少なくなることもあるようです。病院が有床か無床かによっても、勤務体制は変わります。
一方で、研究医は医学研究が仕事なので、患者の対応は行いません。よって、患者の急変などで呼び出しがかかるようなことがなく、日勤帯の働き方が中心です。一般的な会社員と同じように、朝大学や研究機関に出勤し、夕方頃に帰路につくスタイルが多いです。ただし、大学病院勤務の場合は、研究前に患者の診療にあたることもあるといわれます。

1日のタイムスケジュールで分かる病院勤務医の働き方

1日のタイムスケジュールで分かる病院勤務医の働き方
病院勤務医は、病院の開院時間や規模、担当する診療科目などによってタイムスケジュールが異なります。
一般的には午前8時前後に出勤し、当直医から申し送りを受け、カルテチェック後に外来受付がスタートします。
午前の診療終了後、有床病院では入院患者に対する手術の説明や、病状の経過観察などをします。
休憩は午前の診療を終えてからすぐ取ったり、午後の会議前に取ったりと、そのときどきで変化するようです。
病院が閉まったあと、カルテの整理や報告書作成などの事務作業に取り掛かります。事務作業を終えたら帰路につきます。
当直があるときは、こうした一般的な日勤時の流れのあとにそのまま夜勤に入るケースが多いようです。当直の際は通常の日勤時ほどの慌ただしさはないようですが、入院患者に急変があった際やナースステーションから呼び出された際は都度対応にあたります。病棟の巡回も行い、そこで問題がなければ仮眠をとるケースが多いです。翌朝日勤の医師に申し送りをするまでが、当直の日のタイムスケジュールです。しかし、それで勤務終了ではなく、その後ふたたび日勤に入ることもあるとされています。このように、特に当直のあるときが体力的にもハードだといわれます。
近頃はこういったハードな働き方を見直し、当直の翌日は休みをとれることが増えてきているようです。

1日のタイムスケジュールで分かる開業医の働き方

1日のタイムスケジュールで分かる開業医の働き方
開業医の活躍の場は、比較的規模の小さなクリニックが一般的です。診療科目は眼科や耳鼻科、歯科、内科などと幅広く、単科のところもあれば2つ以上に対応しているところもあります。
一般的なタイムスケジュールは、まず午前8時頃に出勤して診療の準備などに取り掛かります。午前の診療後、午後の診療までは医師をはじめ看護師などほかのスタッフも休憩時間です。午後の診療が終わり、カルテの整理などを行ったら退勤です。
経理や労務関係のスタッフを雇用している病院であれば、患者の診療に専念することが可能です。しかし、病院の経営者は開業医本人のため、常に経営に直結する収入面などは考えていく必要があります。
開業医の場合は、救急病院でない限りはタイムスケジュールをほぼ一定に保つことができます。病院の経営面をしっかり考慮したうえで、影響しない範囲で休診日を設定できる点も特徴です。ただし、在宅当番医として休診日に診療の対応にあたることもあります。
無床の病院の場合だと、夜勤はありません。また、基本的にオンコールに対応するようなこともないでしょう。学会に参加したいというような日には、休診日以外に休みを入れることもできます。決めた曜日に休みやすいことも含めて、勤務医と比較すると開業医の自由度は高めだといえます。

医師は勤務先によって忙しさに差がある!

医師は勤務先によって忙しさに差がある!
このように、医師にはさまざまな勤務先・勤務体制があります。開業医として地域に密着していきたいのか、大規模な病院で経験を積んでいきたいのか、医師として望む働き方を明確にすることが勤務先選びのポイントです。
なかでも勤務医の場合、当直も含む長時間勤務が問題視されているのはたしかです。患者の医療ニーズに応えることが医師の務めとはいえ、医師自身が心身に不調をきたすほどの長時間勤務を良しとしていては本末転倒です。
こうした問題を受けて、厚生労働省では医師の働き方改革の必要性に着目。残業時間の上限の取り決めを年に1860時間までと設定し、連続勤務時間は原則28時間に定めました。これらは、健康確保措置として2024年から適用することが決定しています。
また、勤務時間インターバルの確保についての案も提示され、9時間以上の連続勤務を行った場合、次の勤務までの間に9時間フリータイムを確保することも義務付けられます。勤務先ごとで異なる多忙さや業務量の差も、縮まる日が訪れるかもしれません。

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